製造現場や企業経営における管理方法の一つ。
一般的な企業活動のプロセスにおいて、計画、実施、評価、問題点の検証などといった諸活動の実態を、具体的に見えるようにすることをいう。
また、それと同時に、業務上の問題解決や改善にあたって、現場レベルで能動的に対策を講じ、継続的な向上が図られるような方法が確立されていることもさす。
可視化という表現が似た意味で用いられることがある。しかし、企業活動における可視化とは、ルールやコストなどの見えにくいものを見やすい状態にすることを指す一方、見える化は、見えるようになった問題点について、その対処の判断基準が常に組織内で共有され、問題や課題に対する改善が、繰り返し行われていく状態にあることを指すという点で異なる。
見える化という表現は、1998年(平成10年)にトヨタ自動車の岡本渉(わたる)が発表した「生産保全活動の実態の見える化」に登場した。トヨタ自動車の生産ラインで異常を知らせるためのアンドン(ランプ)方式は、「目で見る管理」と呼ばれる。これを原点とする生産現場の取り組み(見える化)は、徐々に全社へと波及した。今日、こうした管理方法はトヨタ方式とよばれ、トヨタのみならず、日本の企業文化そのものを表すようになっている。実際に多くの企業が、トヨタ自動車の見える化の手法を様々な方法で取り入れ、企業活動において大きな成果をあげている。
見える化という言葉は、可視化との意味の区別があいまいな状態で一般に流行語として浸透したため、本来の意味が拡大解釈されて定着したといえる。
たとえば、インターネットを使い、家庭の電力使用量が確認できる電力の見える化サービス(電力関連企業などの事業)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが開発した「放射性物質見える化カメラ」のように使用されている。
2014年(平成26)には、内閣府男女共同参画局のウェブサイトとして「女性の活躍『見える化』サイト」が登場し、女性の管理職や役員が活躍している企業情報が提供されている。
これらのケースでは、指標化、数値化された一定の基準に基づいて現状を視覚化することを、見える化と称している。